インプラントによる治療とは
人が歯を失ってしまう理由は様々で、虫歯や歯周病だけでなく、事故による場合もあります。その失った歯を補う方法の一つがインプラントです。
インプラントは歯の土台となる顎の骨に人工の歯根を埋め込み、そこにセラミック製の人工の歯を取り付ける方法です。自費診療になるので、保険適用の治療に比べて費用は高くなります。
しかし、天然の歯と同じように噛むことができるだけでなく、自分の歯と同じような自然な仕上がりになるので、見た目の美しさと歯の機能を同時に取り戻すことができる治療として多くの方に選ばれています。ブリッジや入れ歯とは異なり、周囲の健康な歯に負担がかからないこともメリットの一つです。
インプラントによる治療のメリット・デメリット
メリット |
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デメリット |
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ほかの治療との比較
失った歯を取り戻す方法としては、インプラントの他に義歯・入れ歯、ブリッジがあります。
義歯・入れ歯は若干噛みにくくなるケースはあるものの、保険診療が適用されるので治療費を抑えることが可能です。自費診療にして素材を選べば、見た目が自然でしっかりフィットする入れ歯を作製することができます。
ブリッジはしっかり固定されるので違和感なく噛むことができ、見た目も自然に仕上げることが可能です。保険診療が適用されるので費用を抑えることもできます。ただ、ブリッジを取り付ける歯を削らなければならず、周囲の歯への負担は避けられません。
それぞれの方法にメリット、デメリットがあるので、患者さまご自身が納得できる方法を選んでいただきたいと思います。
当院のインプラント治療への取り組み
患者さまにしっかり向き合い最適な治療案をご提案
当院ではまず患者さまのご希望にしっかり耳を傾けます。しかし、インプラントは健康状態や顎の骨の量によっては断念せざるをえない場合もありますし、お口の状態によっては入れ歯やブリッジといった他の治療方法が適していることもあります。最適な治療方法をご提案できるよう精密な検査を行い、患者さまがお口の健康を取り戻せるよう全力を尽くします。
信頼できる日本製インプラントシステムを採用
インプラントは外科手術が必要になるので、安全に配慮されていることがなによりも大切です。また、長く使えることも重要なポイントになってきます。
当院ではこの二つを兼ね備えた京セラ社の「FINESIA(ファインシア)」を採用しています。日本企業である京セラのインプラントは業界内でも信頼があつく、日本人の骨格を考慮して開発されているため、より質の高いインプラント治療を提供することが可能です。
インプラント治療の流れ
STEP01歯肉切開・ドリリング
インプラントを埋め込みたい場所の歯肉を切開し、歯の土台となっている顎の骨に専用ドリルで穴を開けます。局所麻酔をするので、痛みの心配はありません。
STEP02インプラント埋入
開けた穴にインプラントを埋め込みます。この時、インプラントに異物が付いていると骨との結合が上手くいかなくなる恐れがあるので、十分注意が必要です。
STEP03待機期間
インプラントが見えなくなるよう歯肉で覆って縫合します。そのまま、埋め込んだインプラントと顎の骨がしっかり結合するまで数ヶ月待ちます。
STEP04アバットメント装着
インプラントが十分に固定されるのを待って歯肉を切開します。露出したインプラントの先にパーツを装着します。このパーツをアバットメントといい、人工歯を取り付ける際の土台となります。
STEP05人工歯装着
歯型をとって人工歯を作り、アバットメントの上に装着します。これでインプラント治療は完了ですが、インプラントを長持ちさせるにはその後のケアが大変重要です。歯科医院で定期的にメンテナンスを受け、お口のトラブルをしっかり予防してください。
骨再生療法とは
インプラントは顎の骨に穴を開け、そこに人工歯根を埋め込む治療なので、安全な手術を行うためにも十分な顎の骨の量、厚みが必要になります。
しかし、重度の歯周病を放置していたり、歯を抜けたままにしていたりすると、気付かないうちに骨が痩せて骨量が足りなくなってしまうことがあり、そのままだとインプラント治療を受けていただくことができません。そのような場合、患者さまの骨や人工の骨を移植して十分な量になるまで骨を増やす「骨再生療法」を行います。いくつかの方法があり、患者さまのお口と骨の状態に合わせて最適な方法を選びます。
GBR(Guided Bone Regeneration)法
抜歯後骨が元の状態に戻らず、骨の量が足らない場合に講じる処置が「GBR法(骨誘導再生療法)」です。
まず、骨を作りたい場所の歯肉を切って患者さまご自身の骨、もしくは人工の骨を詰めます。そのままだと再生スピードの速い歯肉に浸食されてしまうので、歯肉の細胞を透さない保護膜(メンブレン)で覆い、骨が再生するのを待ちます。数ヶ月待って骨が再生してからインプラントを埋め込むこともできますし、増やす骨の量が少なければインプラントと同時にGBRを行うことも可能です。
ソケットプリザベーション
歯が抜けるとその部分に「抜歯窩」という穴ができます。穴をそのままにしておくと、周りの骨の吸収がすすむため、骨が痩せて量が少なくなり、そこだけ凹んだ状態になります。その状態では骨量が不足しインプラントができなくなってしまいます。そのため、骨の吸収を防ぐために抜歯窩に人工骨や骨補填材をいれる治療を「ソケットプリザベーション」といいます。その名をとおり、ソケット(穴)をプリザベーション(保護)する骨再生法です。
インプラントによる治療の料金
料金について
インプラント治療 | 380,000円~(税込418,000円~) |
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GBR | 70,000円(税込77,000円) |
ソケットプリザベーション | 30,000円(税込33,000円) |
保証について
歯や歯肉を健康に保つことと同じく、インプラント部についても、長持ちさせるためには、徹底したブラッシングと定期的なクリーニングが必須となります。特にインプラントは全て人工物となりますので、プロフェッショナルケアは必須となります。
当院では、半年以内の定期的な噛み合わせの調整やクリーニングなどで来院していただくことを前提に、インプラント治療に最大10年間の保証期間を設けております。
インプラントのリスク
主なリスク
神経麻痺
手術中に器具や埋め込む歯根が神経に接触してしまうことがあります。患者さまの顎の骨の形や神経の位置をしっかり確認できていないことが原因です。こうなると神経の損傷や圧迫が生じ、神経麻痺を引き起こす恐れがあります。
血管損傷
外科手術の範囲となる個所には大きな血管もあります。その位置を見誤ってドリルなどで傷つけてしまうと、大量出血を招く恐れがあり大変危険です。血管の位置をしっかり把握しておく必要があります。
リスクを回避するために
「神経麻痺」や「血管損傷」などの危険は絶対に回避しなければなりません。そのためには外科手術の前に精密な検査を行う必要があります。その際に当院で使用しているのが歯科用CTスキャンです。歯科用CTスキャンを使えば、歯の状態だけでなく顎の骨の厚みや形、骨密度などが分かります。撮影した画像を元に3D画像を作成すれば、かなり正確に血管や神経の位置がわかり、どこにどのような深さ、角度でインプラントを埋め込めばよいかも一目瞭然になるので、安全かつ正確なインプラント治療には欠かせない機器となっています。
治療後のケアについて
インプラントは一度手術を受けたらそれで終わりではありません。「インプラント周囲炎」などのお口のトラブルを避けるためには、適切なメンテナンスを続ける必要があります。面倒と思うかもしれませんが、しっかりケアすることでインプラントを長持ちさせることができるのです。
定期的なメンテナンスでは、自宅での歯磨きでは除去しきれない歯垢を取り除き、歯肉に炎症が起きていないかどうかをチェックします。当院では人工の歯を傷つけないようエアースケーラーを使いますので、歯や歯肉への負担なく、インプラント周囲を清潔に保ち、お口の健康を維持することが可能です。
インプラント周囲炎とは?
インプラントという人工物をお口に入れたのだから何のトラブルも起きないはず、と誤解している方は多いかもしれません。たしかに虫歯などのリスクはなくなります。
しかし、インプラントを埋め込んだ周囲の骨や歯肉にはまだ細菌に感染する恐れがあり、そうなると歯の周りの骨や歯肉がだんだん破壊されていってしまいます。このような状態になることを「インプラント周囲炎」といいます。歯周病と同様、インプラント周囲炎になるとインプラントが抜け落ちてしまうことがあるので、原因となる歯垢をしっかり取り除くためにも定期的にメンテナンスを受けるようにしてください。
よくあるご質問
インプラントの治療はどのくらい治療期間がかかりますか?
インプラントを何本入れるか、顎の骨の状態はどうか、などによって治療期間が異なるので、一概にどのくらいの時間がかかると言うことはできません。顎の骨のインプラントが結合するまでに数ヶ月かかるので、少なくともそれ以上の期間は必要となります。治療前にしっかりカウンセリングを行い、その際に治療期間についてもお話しいたします。
手術に耐えられるかどうか心配です。
手術と聞くと痛みが心配になるのは当然のことです。ドリルを使って歯の土台となっている骨に穴を開けるので音と振動に驚くかもしれませんが、外科手術の前に局所麻酔をするので、強い痛みを感じることはありません。安心してインプラント治療を受けていただきたいと思います。親知らずの抜歯と同じような感覚と思っていただければ大丈夫です。
入院が必要ですか?
手術当日にお帰りいただけます。ただし、注意していだきたい点があります。インプラントは歯肉を切開して顎の骨に穴を開ける手術を行うので、歯肉に傷ができています。ですので、激しい運動、飲酒、喫煙、長時間の入浴は避けるようにしてください。
インプラントによる治療は何歳から受けられますか?
顎の骨が成長段階にあるお子さまはインプラントを受けることはできません。インプラントを埋めた個所の骨の成長がとまってしまい、顎の発育や歯並びに影響がでる恐れがあるからです。成人以降は何歳でも治療を受けられますが、健康であること、手術を受ける体力があることが条件です。また、レントゲン撮影や麻酔を行うため、妊娠中の方はインプラント治療はお控えください。
治療後は特別なメンテナンスが必要ですか?
まずはご自宅でブラッシングを行い、歯間ブラシを使用して歯垢をしっかり取り除くことが大切です。しかし、ブラッシングでは除去しきれない歯垢もあります。それを放置してしまうと「インプラント周囲炎」などのトラブルを引き起こし、最悪の場合、インプラントが抜け落ちてしまうこともあります。歯医者で定期的にメンテナンスを受けるようにしてください。
治療費を抑えたいのですが、何か方法はありますか?
インプラントは自費診療の上、失った歯の本数が多いほどインプラントの数が増え、その分治療費は高くなってしまいます。ほとんどの歯を失ってしまっている場合、全部の歯をインプラントにしていたらかなりの額になります。そのため、小さなインプラントを数本だけ埋め込み、そこを支えにして入れ歯を固定する「オーバーデンチャー」という方法を選択すれば、治療費を抑えることが可能です。